2017.12.8 金曜日

2017年11月25日 AAFMゼミナール報告その2 浅沼信治先生講演「若月先生と有機農業」


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2017年11月25日、社)日本アンチエイジングフード協会のAAFMゼミナールの後半、その2の報告です。

講師は引き続き、佐久総合病院・(一財)日本農村医学研究所 客員研究員・農学博士、浅沼信治先生の講演の様子をレポートします。
前半は若月俊一先生の佐久総合病院での活動の軌跡、そして日本の農薬被害・世界で問題になっている農薬問題について触れました。後半では、そこからどう食の改善をしていくかにテーマが降られます。

土と人の健康を取り戻せ。
佐久市有機農業研究協議会の取り組み

(写真:浅沼信治先生講演より)

(写真:浅沼信治先生講演より)

農薬問題で疲弊した佐久周辺の土地はいわゆる地力がなくなっていきました。
そこで地力改善の柱として町に堆肥センターが作られることになります。そしてそれを後押しするように、有機農業の実践が推進されました。化学物質が人の影響に及ぼす影響なども研究されることになります。
町・病院・農協の3者での共同の取り組みが始まっていく全国でもまれな取り組みがスタートしたのでした。そうして、佐久病院の玄関の前では、無農薬で栽培された農作物を販売するなど、元気な声が、患者さんにも元気を与えています。

(写真:浅沼信治先生講演より)

(写真:浅沼信治先生講演より)

一方で、若月先生は全国から若い医師を大勢集め、農業体験コースをつくり、日本の農業問題を一緒に考える機会にしてきました。
若月先生が始められていたころは農村医学という農村特有の健康問題からスタートしたのかもしれません。しかし医療従事者が食の安全を学ぶということは、予防医療の根幹を学ぶ画期的な取り組みであるように思えます。

またアメリカの大豆に農薬がまかれる様子やフィリピンのバナナの殺菌剤漬けの様子なども報告され、海外の食品への不安を改めて考えてしまう報告もありました。やはりできるだけ安心な国産の食品を食べたいという気持ちが湧き上がってきたます。

4.食生活の変化。和食国産のすすめ

日本の食生活の変化は病気の変化にも見えてくると浅沼先生。
白米ばかりを食べてきた歴史は戦争での脚気との闘いでもありましたが、現在まで白米から玄米に戻ることもなく、戦後、精白したアメリカの小麦によるパン食を推進していききた歴史も知っておきたいところです。

学校給食ではいまだにパン食が推進されており、子ども達ビタミンB1欠乏も気になるところ、やはり玄米食の復活をと下記のように玄米食のメリット挙げていただきました。

【玄米食のメリット】

  1. 美味しい。
  2. 栄養学的にもバランスがいい。
  3. 現在の玄米食は食べやすく、吸収されやすい。
    胃腸の弱い人にも適している。
  4. 多少噛みごたえはあるが、そこが脳の発達にもいい。
    学校給食に最も適している。保存性もよく安全性が高い。
  5. 少量で満腹感がある。腹持ちがいい。
  6. 何よりも、ぬか漬けや海藻小魚など和食のおかずが合う。
  7. 余分な動物性脂肪やたんぱく質を減らすことにより、
    アトピー、アレルギーなどの病気を減らすことができる。

一方、おかずの部分に関しては、佐久地方の郷土食をいくつか紹介いただきました。

凍てついた気候が作る「凍み豆腐」は高たんぱくで様々な料理に応用が効きます。

凍てついた気候が作る「凍み豆腐」は高たんぱくで様々な料理に応用が効きます。

「煮こじ」と「鯉こく」。ともに佐久地方を代表する郷土料理です。

「煮こじ」と「鯉こく」。ともに佐久地方を代表する郷土料理です。

地産地消から和食国産へ

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 国民の健康を守るために「何を食べるべきかを考え、国内で何を生産するか」が重要です。
 「地産地消」ではなく、もっと積極的に次世代にどういう食農環境を残すかを農政や厚生省の問題として取り組むべきだと浅沼先生は言います。
 
最後に、
医は食に学べ、
食は農に学べ、
農は自然に学べという言葉があります。

食料が輸入できてもいのちを育むこころは輸入できません。
若月先生の活動は佐久の人々、ひいては全国の心ある研究者にも受け継がれて、できるだけ安全な食料を日本で生産し、分かち合って健康をつくっていく活動の源となっていると感じました。

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