2016.8.8 月曜日

こんなに違う!狩猟民族と都会暮らしの腸内環境 〜ライフスタイルとマイクロバイオーム〜


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私たちの体に存在する細菌のネットワーク「マイクロバイオーム」。20世紀からのライフスタイルや地球環境などの急速な変化により、マイクロバイオームも大きく変化し、その結果、肥満やアレルギー、うつ病など、100年前には希少だった疾病が急増していると考えられています。現代人と狩猟生活の国の人の腸内環境の差からそのなぞをひも解いてみましょう。

現代人と狩猟生活の腸内細菌の違い
「清潔」と「加工食品」が腸内細菌の多様化を阻むのか

アフリカで狩猟採取の生活を今なお続けている、ハッザ族の腸内細菌の多様性は、他民族に比べて非常にバラエティ豊かで、驚くことに“西洋医学”的には、病原菌と分類されているものまで存在しています。シュノール博士らによる研究によると、ハッザ族とイタリアの都会に住む人の腸内細菌の種類数を比べると、ハッザ族の腸内細菌は種類が豊富で、イタリア人で多く見られる菌が見られないなど、大きな違いが明らかになっていいます。

(S. L. Schnorr et al. “Gut microbiome of the Hadza  hunter-gatherers” DOI:10.1038/ncomms4654)

(S. L. Schnorr et al. “Gut microbiome of the Hadza hunter-gatherers” DOI:10.1038/ncomms4654)

イタリア人の現代の食生活は日本と同じように多種多様な食品を摂っているようにみえて実態は加工度の高い食料が増えてきたことや、抗生物質の多用などが、こうした腸内細菌叢の違いに結びついているのではと考えられます。
また食べ物だけでなく子供のころからの清潔すぎる暮らしも常在菌を排除してアレルギーが増えているなど他の疾患への影響も考えられています。

現代人が食べている、化学物質や糖質がむしばむ腸内細菌叢
特に注意すべきは「果糖」と「グルテン」

現代人と狩猟民族の食生活の差はなんでしょうか。現代人の食生活は、細菌の餌となる繊維質の摂取が減る一方で、化学物質を含む加工食品の摂取や、糖質・たんぱく質に偏った食事が一般化しています。糖質もたんぱく質も人間にとって大切な栄養素ですが、過剰に摂りすぎるとそれを餌とする一部の細菌が過剰になり、マイクロバイオームのバランスを崩します。さらに、その中でも特に避けるべきモノとして強調されているのが「果糖」と「グルテン」です。

まず「果糖」の供給源は果物と考えがちですが、自然の果物そのものは比較的糖質は少なめです。問題なのは、トウモロコシなどを原料として人工的に合成された「異性化糖」です。清涼飲料水や加工食品などに頻繁に使われ、知らず知らずのうちに大量摂取してしまう傾向にあります。
果糖は病原性細菌の餌になり、腸内のバランスを崩すという報告がなされています。一部の腸内細菌の急激な活性化で下痢を招いたり、細菌が生成したメタンが消化と便の動きを妨げ、逆に膨満感や便秘を引き起こしたりします。

様々な加工食品に入り込んでいる異性化糖

様々な加工食品に入り込んでいる異性化糖

さらに、ウェイクフォレスト大学のカバナー博士によるサルを対象にした実験によると、大量の果糖摂取は腸壁を傷つけ、そこから細菌が通常の30%も多く流出することがわかりました。となると、細菌や毒素を漉しとる肝臓に負担をかけると同時に、大量の果糖を肝臓で処理する必要が生じるため、ダブルで肝臓に大きな負担を与えることになり、代謝性機能障害や肝臓病のリスクが大きく上がります。さらに、果糖は食欲抑制に関係するホルモン「レプチン」の生成を行わないため、満腹感を得ることができずに食べ続けてしまい肥満へとつながるというおまけ付きです。

現代人の大量摂取してるグルテンを含む精製小麦

現代人の大量摂取してるグルテンを含む精製小麦

そしてもう1つ、小麦の「グルテン」も腸の中のマイクロバイオームの大敵です。まず、グルテンは腸内にいるカンジタ菌の餌となり、爆発的に増やしてしまうといわれています。通常、カンジタ菌は一定量であれば体には悪影響を及ぼしません。しかし、増え過ぎると、カンジタ菌が分泌する毒素の影響で小腸壁の細胞に傷がついてしまいます。そして、グルテンそのものにもグリアジンというタンパク質が含まれており、小腸の壁の結合組織「腸管関連リンパ組織(GALT)」を壊す作用があります。

こうして腸壁が傷ついた状態は「リーキガット症候群(腸壁漏えい症候群)」と呼ばれています。壊された小腸壁の結合組織からは、未消化の栄養や細菌、不要物質などが流れ込み、それらに対してアレルギー反応が生じるというわけです。

グリアジンを含むグルテンについては1940〜1960年代にかけての遺伝子変性小麦によるものであり、その影響は未知数です。人類とともに進化してきたマイクロバイオームが対応しきれていない栄養素ともいえることから、可能な限り避けることが賢明と言えるでしょう。

ピロリ菌は悪か

私たちの体内のマイクロバイオームは、特に先進国において世代間での差異が拡大しています。たとえば、米国では2〜3世代前に80%が持っていたピロリ菌は、現在の子どもでは6%しか持っていません。この原因としてまず第一にあげられるのが「抗生物質」です。米国人の子どもの多くが風邪や中耳炎などで繰り返し抗生物質を投与され、その結果、ピロリ菌の保有者が減少していると考えられています。

なお、ピロリ菌は食欲を抑制するグレリンというホルモン生成に関与しており、その消滅が食べ過ぎ、肥満へとつながるとされています。また、ニューヨーク大学のブレイザー教授によると、マイクロバイオームを構成する細菌に変化が生じたことで、ある種の幹細胞の分化に偏りが生まれ、脂肪細胞の過剰生産をもたらしているといいます。いずれにしても、ピロリ菌の減少が肥満の増加につながっているというわけです。

そうした事象を鑑みれば、ピロリ菌だけでなく、他の菌にも影響が出ていると考えるのが自然でしょう。そして、様々な共生菌が損ねられ、バランスを失えば、影響は肥満だけでなく、栄養の消化や吸収、アレルギーやアトピー、関節痛や糖尿病、うつ病などの精神疾病などの大量発生にまで至っており、相関関係が疑われているものも含めると全身に及ぶと言っても過言ではありません。

マイクロバイオームに影響を与えるものとして、多くの研究者たちが指摘するのが「ライフスタイルの変化」です。

まず帝王切開が増えたこと。米国で30%以上、中国は70%弱、そして日本では20%弱が該当します。当然ながら、母親の産道で出会うはずの重要な細菌を得ることができません。さらに小家族化が進み、多様な家族メンバーから微生物をもらう機会が少なくなっています。

他にも水道の整備やアスファルト舗装、そしてそもそも泥遊びをしなくなったことなどで、土壌菌に触れる機会が少なくなったこともあげられます。さらには抗生物質以外にも、ピルや非ステロイド性抗炎症薬、農薬などの合成化学物質、水道水に含まれる塩素などもあげられています。過剰な殺菌消毒も遠因的にはマイクロバイオームの健全化を阻害していると言っても過言でありません。

できるだけ菌を排除して、清潔に暮らそうとすることが、多様な体内細菌を獲得して取捨選択する機会を減らし、結果として健康を損ねる結果となっているわけです。そもそも環境自体が様々な化学物質で侵されており、その影響も決して無視はできないでしょう。

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