2016.11.7 月曜日

【炎症と食べものの関係。食品添加物の乳化剤が腸のバリア機能を低下させている!? 】~認知症への影響も~


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36854062 - a small cup of coffee creamer on coffee beans

乳化剤と炎症の関係は?

体内の恒常性を保つための生体防御反応である炎症をコントロールすることは、アンチエイジングを考えるにあたり非常に重要な要因です。炎症によって私たちの身体が守られている反面、炎症が頻繁に起こるような状態が続くと、正常な細胞や組織もダメージを受け、老化が促進されてしまうからです。また、炎症は脳にも影響を与え、うつ病や統合失調症、認知症、自閉症
などの精神疾患の関連も多く指摘されています。たとえば、100歳以上の認知機能と炎症のマーカーの関連を調べた研究では、認知機能障害の重症度とマーカーの血中濃度が相関していました(*1)。また、別の研究ではアルツハイマー病になりやすいマウスに対し、ミクログリアという免疫細胞の活性を抑える物質を投与したところ、記憶障害と問題行動が減少することがわかりました(*2)。

24237761 - portrait of woman with stomach ache sitting on floor at home, asian model
炎症の原因は感染、怪我、肥満、老化、ストレスなど様々ありますが、腸内環境の乱れに由来する炎症に最近注目が集まっています。

48480210 - peanut butter sandwich on plate
腸内環境を乱す食事関連の要因として、糖質の取りすぎやグルテン・カゼインに対する過敏症、添加物などがありますが、乳化剤の影響についてはまだあまり知られていませんでした。今回はNatureという世界的な科学雑誌に掲載された研究が興味深いものでしたのでご紹介したいと思います。乳化剤とは、水と油を混ぜる性質をもつ物質で、パンやアイスクリーム、チョコレート、コーヒーフレッシュなど、現代では様々な食品に使用されています。

この研究は米国のジョージア州立大学でおこなわれたもので、P80(ポリソルベート 80)とCMC(カルボキシメチルセルロース)という2種類の乳化剤が腸管にどのような影響をおよぼすか、マウスを用いて調査されました。P80、CMCはともにFDAから安全性を確認されており、一定の量以下であれば食品に使用することを許可されている物質です。FDAに許可されているものと同じ濃度で、この2種類の乳化剤を水とともに12週間マウスに摂取させた結果、水だけを飲んだマウスと比較して、乳化剤を摂取したマウスでは腸上皮細胞の粘液の厚さが減少し、微生物が腸上皮により近づいていました(*3)。つまり、このことは腸壁を守っている粘液の量が減ったことによってバリア機能が低下し、微生物が感染しやすい状態になっているということを示しています。実際、乳化剤を摂取したマウスでは、大腸炎も起こりやすくなっていたこともわかりました(*3)。

他の乳化剤ではどうなのか、また人体でも同じような影響があるのかはわかりません。水と乳化剤だけを合わせて摂取するということはまずないので大丈夫ではないかという考えることもできますが、このようなこともありうるということは頭の片隅に置いておいた方が良いでしょう。

参考文献:

*1. Bruunsgaard H. The clinical impact of systemic low-level inflammation in elderly populations. Dan Med Bull. 2006;:1–25.

*2. Olmos-Alonso A, Schetters STT, Sri S, Askew K, Mancuso R, Vargas-Caballero M, et al. Pharmacological targeting of CSF1R inhibits microglial proliferation and prevents the progression of Alzheimer’s-like pathology. Brain. 2016 Feb 25;139(3):891–907.

*3. Chassaing B, Koren O, Goodrich JK, Poole AC, Srinivasan S, Ley RE, et al. Dietary emulsifiers impact the mouse gut microbiota promoting colitis and metabolic syndrome. Nature. 2015 Mar 5;519(7541):92–6.
※P80(ポリソルベート 80)厚生労働省解説ページ
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/07/dl/s0704-7h_0001.pdf
※CMC(カルボキシメチルセルロース)東京都福祉保健局の開設ページ
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/shokuten/koryo.html

この記事を書いたマイスター

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