2017.5.9 火曜日

マイスターライフ 南信州の小さな山里「うるぎ村」より


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アンチエイジングフードマイスターには都市部から地方への移住を実践して、食と健康の情報発信や地域活性に取り組んでいる方達がいます。
そのうちの一人、2016年秋に神奈川県から南信州へ移住をした伊藤隆子さんにインタビューしました。

伊藤さんの移住先は、長野県の売木(うるぎ)村。長野南端で愛知県境にあります。愛知県東部=奥三河・静岡県西部=遠州・長野県南部=南信とされるこのエリアは「三遠南信(さんえんなんしん)」と呼ばれます。数年以内に幹線道路やリニアが開通し、今後は発展する可能性がありますが、今のところは「東京から半日で行く秘境」の村だそう。
そんな売木村に行くきっかけ、売木村でのお仕事について聞いてみました。

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まず、伊藤さんの自己紹介と経歴などを教えてください。

実は長年、食や健康とは関係ない職業に就いていました。美術大学を卒業後にデザイナーとして働いていたのです。IT系企業で洋食器メーカーのwebサイト担当になり、広報で食器に合わせる料理について書く仕事が本当に楽しかった。同時期に、友人達が私の料理を食べては「天職はITじゃなくて食なんじゃないの?」と感想を言ってくることが立て続いて。それまでは単に趣味としてオーガニック食材や地場野菜を使った手料理に凝っていたのですが、そこで初めて食に関する仕事をしてみたいという欲求が生まれました。さらに、アスピリンアレルギーを発症したことで、化学物質を体へ取り込むリスクを痛感して食の安全について独学を始めました。

40歳で異業種転職というのは勇気が要りましたが、運よく自然食品を扱う企業に就職して、そこで問屋業務と商品開発を兼任しました。ものすごく大変な日々でしたが、加工食品の製造から流通の現状について習得できました。化学添加物不使用品や栽培にこだわった生産物について現場で勉強できたこともラッキーだったと思っています。

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移住の動機は何ですか?

経済誌に連載されていた地方創生事業の記事を数年前より愛読しており、ビジネスとしてとても興味がありました。生まれも育ちも東京ですが、都会を離れて神奈川の海岸沿いへ引っ越して10年間暮らしていたこともあり、田舎暮らし自体が性に合っていると感じていました。でも生い立ちからして地方に人脈があるわけではないので、地方移住には無縁だと思っていたのです。しかし、転居と転職を考えるタイミング来た際に、思い切って知らない土地に行ってみようと決めました。

知り合いから村の休眠施設再生の活動をしている人を紹介され、「再生後のキャンプ場で将来的にカフェをやりたいのだけどメニュー案とか作れる?」と相談されたのです。その案が売木村の地域おこし協力隊として働く方の目にとまり、ちょうど村がスタートさせようとしていた特産品事業の情報を頂きました。その事業が漬物商品開発で、地域おこし協力隊としての求人があったので応募したという経緯です。マイスターとして伝統的な発酵食品に関わることは大きなチャンスかと感じています。

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売木村ではどのようなお仕事をされているのですか。

村の野菜を使った漬物を商品化していきます。この企画は単に商品開発するのではなく、村内のおばあちゃんたちの漬物レシピを若者に継いでいくこと。村で乳幼児子育て中の若いお母さんは、働きたくてもなかなか雇用が無いのが現状なのです。そこで生産所に子連れで来てもらい、ローテーションで赤ちゃんの面倒を見つつ、現場ではシニア層が次世代に伝統食の生産技術を教えるというスキームを作ります。

村のおばあちゃん達が差し入れてくれる漬物の美味しさに慣れた後で、市販の漬物を食べる機会があったのですが、3口以上食べ続ける気が起きませんでした。村のお漬物は味わいが深くて、すぐに飽きるということが無いのです。食品添加物のアミノ酸に慣らされていない舌を持つ人なら、すぐに違いがわかるはずです。東京や名古屋への出張先で定食を食べたりすると、米と漬物の味の差にぐったりするようになって(笑)。早く帰って村の水で炊いた「うるぎ米」とお漬物を食べたいと思うほど、すっかりハマっています。このような食習慣の中で次世代が育つことに、究極の食育の可能性も感じています。

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長野県は味噌や漬物の発酵食品文化が有名ですが、この業界は残念ながら衰退傾向にあって漬物加工業者だけでも年数社が倒産していきます。県の行政や銀行はこの事態を重く見ており、なんとか再活性させる道を模索しているところです。マイスターとして私が学んできたことから問題を見ると、単に事業拡大を目標にするのは無理がある。健康な土壌で育つ作物、栄養価が豊富、余分な添加が無い、伝統食であること、美味しくて口にすると幸福感がある、これらの食の条件はマイスターから見ると当たり前ですが、田舎の小売店にも添加物たっぷりの調味料やらスナック菓子が大量に並んでいて、伝統的な食意識が縮小していく様子を痛感します。私のミッションは、発酵食・伝統食メーカーとしていかに正しい消費者教育を実践し、単に商品を売るだけではなく自宅での手作りを勧めるなどして食文化の啓蒙を行い、そこを実践できる人々を「正しい商品」の購買層に育てること、と考えています。

もう一つの仕事は移住定住促進事業です。就農者の高齢化が進み、休耕地が年々増えています。売木村の景観の美しさは、きちんと人の手が入った山里、里山にあります。これを絶やさぬよう、就農支援を含めた移住者獲得を進めていきます。よく田舎では「農業は甘いもんじゃない」と言って、半農半Xや有機栽培・自然栽培を志す若者を締め出すといった話を聞きますが、売木村はその点とてもおおらかで。こういった生き方を実践している20代~40代の層が実際に何人も休耕地を復活させています。大げさな言い方かもしれませんが、日本の農業に対する未来への答えが、この小さな村にあると思っています。私もこの春から、超初心者農家として半農半Xを行う予定です。

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村の様子や実際の生活について教えてください。

売木村は険しい峠を越えなければ村内に入れませんが、一旦入るとなだらかな田畑が連なり、山並みの雰囲気も周辺地域と比べてずいぶんのんびりした景観なのです。本当に日本昔話的というか、日本の原風景の中で生活していますよ。今の住居は築100年の古民家を借りており、初めて一目見た瞬間に「あ!ここだ!」と思った家です。不思議な縁ですよね。家の中にそのまま置いてあった古家具も使わせてもらっています。自前のインテリアグッズと一緒に並べても違和感無く、しっくりとはまってくれて。家自体はまだまだ古い家財の片付けや改修がたくさん必要ですが、徐々にお気に入りの空間ができあがりつつあります。

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移住からわずか半年ほどの間に、考え方や感じ方が大きく変わったことを実感しています。あまりにも多くの学びがあって語り尽くせませんが、最近特に感じる変化は、田舎ほど創意工夫が必要という心構えですね。先日都内へ行った際に、たまには流行りのおしゃれなカフェにでも行ってみようかと思っていましたが、自分の興味の対象があまりにも変わってしまっていて驚きました。何というか、人が作った流行を追いかける気が失せていて。いわゆる「何もない」田舎では、欲しい状況は自分で工夫して生み出すしかないし、それが最高に刺激的で楽しい。田舎は退屈じゃないです。好奇心旺盛な人ほど、田舎ではきっと退屈している暇なんてないですよ。

今後の活動や、チャレンジしてみたいことは?

首都圏ではほとんど知られていない「三遠南信(さんえんなんしん)」というエリアにとても高いポテンシャルを感じています。三河湾、天竜川、茶臼山山系という大自然と、工業技術から穀倉地帯まで豊かな資産がある土地ですが、地域の情報発信力の弱さが否めません。私の元々の得意分野である「強い写真と文章」による情報拡散、そして食文化の啓蒙を通して地域の発展の一端を担いたいと考えています。

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あと、できれば猟の技術を習得してみたいですね。第一次産業を知れば知るほど、野生動物との問題がいかに深刻かわかります。自然と人との共存を考える上で大切な経験になるかと。猟を学んだ後は、日本各地で廃棄肉となってしまう命を、なんとかして有効利用する道を探っていきたいのです。

売木村在住の方々は、困っている人を本当に親身になって助けたり、新しいことにチャレンジする人を非難するよりも暖かく見守ってくれる気質であると感じています。移住してしばらくは孤軍奮闘かと覚悟してたのですけど、驚くほどのサポートをしてもらったおかげで、次に何をしたいかどうか見えてくるようになりました。

こんな山奥で暮らしていますが、もし私のささやかな食卓と畑からの情報発信が世界を美味しく健やかに変えることができたら(笑)、これほど痛快なことはないですよね!そして、同じ志を持つ仲間が増えていくことを願っています。

伊藤隆子さんが暮らす売木村では、村内体験イベントを行っています。村民をプログラム講師に迎え、観光旅行では味わえない本物の田舎体験をすることが可能です。宿泊民宿では、裏山で採れた山の幸がふんだんにふるまわれます。ご興味ある方は下記情報を是非チェックしてみてください。

売木村体験ロハス

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パンフレット

売木村体験ロハスのパンフレットは、下記よりPDFをダウンロードして、ご覧ください。
売木村体験ロハスパンフレット表紙.pdf(A4・1.36MB)
売木村体験ロハスパンフレットp2-3.pdf(A3・1.58MB)
売木村体験ロハスパンフレット裏表紙.pdf(A4・1.71MB)

facebook

https://www.facebook.com/urugi.lohas/

年間予定プログラム

一回でも複数回でも、お一人でもお友達&ご族でも参加OK!
※但し8/20以外は20歳以上の方に限ります。
一泊二日プログラム:各回とも8,800円(税込)
【体験料・材料費・宿泊費・4食・温泉入湯料・保険料込み】

  1. (2017年5月現在終了)4月22日~23日(土日)<一本桜見学・つみ草など>
  2. 7月15日~16日(土日)<ブルーベリー摘み・夏野菜ピザ作りなど>
  3. 8月5日~6日(土日)<ブルーベリー摘み・夏野菜ピザ作りなど>
  4. 10月28日~29日(土日)<紅葉見物・きのこ料理など>
  5. 11月25日~26日(土日)<リース作り・漬物体験など>
  6. 1月20日~21日(土日)<小正月体験・七草粥など>

日帰りプログラム:各回とも4,000円(税込)
【体験料・材料費・1食・温泉入湯料・保険料込み】

  1. 5月20日(土)【食】<つみ草・山菜料理・よもぎ餅つき>
  2. 6月10日(土)【農】<りんご摘果作業・とうもろこし畑作業>
  3. 8月20日(日)【農】<とうもろこし畑作業・かかし作り(お子様歓迎)>
  4. 9月23日(土)【食】<栗拾い・栗料理・りんご狩り>
  5. 10月7日(土)【物】<風景写真撮影・フォトフレーム木工>
  6. 12月16日(土)【物】<正月飾り作り・餅つき・鏡餅づくり>

お問い合わせ・お申込み

売木村移住定住支援対策室内 売木村体験ロハス事務局
電話:0260-28-1101 FAX:0260-28-1102
eメール:iju_info@urugi.jp
webお申込みフォーム:http://kanko.urugi.net/lohas.html

 

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