2017.9.26 火曜日

未来世代のために ~環境予防医学を学ぶ(その1)~  千葉大学大学院 環境生命学・予防医学センター 森千里教授をお迎えして


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2017年9月16日(土)、東京・文京シビックセンター26階 スカイホールにて今年4回目となるAAFMゼミナールが開催されました。
日本における公衆衛生学、しかも最先端である環境予防医学の現役教授のゼミナールともあって講義のボリュームは時間内に収まるかどうか参加者も期待と緊張の面持ちでスタートです。

森千里先生は、日本の公衆衛生の先駆者でもあり医学の教科書でも有名なあの森鴎外の曾孫にあたります。
時代は移り変わって100年前の医学と現代では環境まったく違うとはいうものの、予防医学に向かう姿勢そのものは変わらない、森先生は冒頭に森鴎外の研究の足跡・その功労をお話しされながらご自身の研究へのポリシーをお話ししてくださいました。

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冒頭に環境生命学・予防医学センター研究室の5つの戦略が紹介されました。

一つめは、千里の道も一歩から作戦(先生のお名前にも由来して)
二つめは、わらしべ長者作戦
三つめは、落穂拾い作戦
四つめは、温故知新作戦、
そして五つ目は言霊作戦です。
大学の研究室はある意味とても厳しくアメリカ的。研究成果や費用にも気を遣わなければなりません。細い藁一本を手繰り寄せるような努力も必要であると同時に、時には大胆にトップダウンからスタッフのWHO派遣など様々な工夫と努力で研究室を守っていらっしゃるのでした。多くの研究がどれも人の生命や環境を救うことを目的としていますが、全てに潤沢な時間や資金があるわけではありません。逆に地道な研究だからこそまずは細かいベースを作る。鴎外ゆずりの緻密さと大胆さを感じざるをえないのでした。

胎児は多くの環境汚染物質にさらされている。

森先生は予防医学、ことに環境生命学のフィールドで最も環境汚染物質の危険にさらされるのは胎児であると語ってくれました。

健康に影響する環境要因はおもに、物理的要因(熱・放射線)、生物的要因(ウィルス・細菌)、社会・文化的要因(ストレス・生活習慣・アルコール・栄養状態)、科学的要因(化学物質)があります。中でも科学的要因(化学物質)は国内でほぼ平均的に汚染され、無意識に摂りこまれるため、母体からの胎児への化学物質の移行は避けることができないのです。
へその緒からの化学物質の検出率はほぼ100%、もはや汚染されていない人がいない世界になっているということでした。
また臍帯中のPCBの濃度の蓄積性では第一子に出現が一番国、第二子、第三子となるにつれその濃度は薄まっていくのです。

赤ちゃんなのに成人病!?

森先生は、胎児期に受けた環境影響が、出生後、そして成人後の疾患の原因ともなっている可能性を指摘しました。たとえば1970年より投与された大量ステロイドの影響は数十年後に高血圧、糖尿病、精神疾患の増加にも関与があるという説です。
厳しい現実にうちのめされそうになりますが、これを克服するにはどうしたらよいのでしょうか。今、千葉大学予防センターでは、千葉こども調査「胎児期に始まる子どもの健康と発達に関する調査(出生コホート)」に取り組んでいるそうです。http://cpms.chiba-u.jp/kids/
赤ちゃんがお腹の中にいる時や生まれたあとの環境(栄養や生活習慣)と遺伝子が子どもの健康や発達にどのように関係しているかを調べ、病気や発達障害の予防に役立てることを目指している調査です。

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森先生たちの長期の調査によってまた新たな現実と解決法が探られてくるに違いありません。ご興味のある方はぜひHPをご覧ください。

次回は

環境科学物質の暴露を避けるには~
と予防医学への関心を広めるためにその具体的な方法、シックハウスと質問コーナーの報告、そして楽しかった鴎外荘での懇親会の様子もご報告します。

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