2020.10.19 月曜日
シリーズ環境汚染物質講座その3
環境汚染物質の毒性も知る ケミカルスープの中に生きている私たち
化学物質の毒性にはどのようなものがあるでしょうか?
- 環境に影響を与えるものと人体に影響を与えるものがある
- 急性毒性と慢性毒性がある
と考えてよいでしょう。
急性毒性は、化学物質に1回もしくは短時間に暴露してすぐに症状が現れる毒性をいいます。
一方で化学物質に慢性的に繰り返しもしくは長時間、暴露して数か月以上たってから発症する毒性です。
被害の種類について
ここでは人体に対する被害として下記をまとめました。
- 神経毒性
目の粘膜や皮膚・気道を刺激して炎症などをおこす刺激性、神経系が被害を受ける神経毒性があります。 - 免疫毒性
免疫系が過剰に後退をつくりアレルギーのような症状をおこす感作性の毒性です。 - 発がん性
発がん性は、細胞に作用してがん化する性質のことです。発がん性の8割はなんらかの「環境病」中にある発がん性物質に暴露することが原因ともいわれています。 - 生殖毒性
生殖毒性は生殖や発生に影響を与える毒性で生まれてくる男女のバランスや、不妊、流産にも関係があるといわれています。 - 催奇性
催奇性は主に胎児に奇形をおこすもので、遺伝子に突然変異をおこす毒性です。
神経系や免疫系の影響という観点からいえば、こどものアトピー、アレルギーや発達障害(ADHD,楽手生涯、アスペルガー症候群、自閉症など)が近年急増していることは申告な問題です。
ケミカルスープの環境とは
時代は「食原病」から「環境病」にまで広がりをみせています。
2015年、オックスフォードジャーナルに発表された内容は要約するとこのようなものでした。
「ヒトに発がん性はないとした85種のうち50種の化合物は低濃度暴露することにより発がんに関与する可能性を示した。」
「ひとつの化学物質で単独の安全性を試験するだけでは時代遅れであり毎日、化学薬品の混合物(ケミカルスープ)の海に漂っているものだ。」
「単独の安全性を並列に加算することは総合的な安全性の保障につながらない。」
このように様々な化学物質が食べものや暮らしの中に入り込んでいる状態の中ではたとえ1種類の化学物質が安全基準値以下だとしても安心はできないといってよいでしょう。
まさにケミカルスープの中に生きている私達なのです。
化学物質の有毒性は分解性、蓄積性から考えることも重要です。
環境中で分解されるのに数秒から数千年までそれぞれだからです。
分解されにくいもの(難分解性)は性質がかわらないまま「環境」中にとどまり、環境や人体に影響を与え続けます。
一方、蓄積性はその化学物質は水に溶けやすいか、油に溶けやすいかということに関係しています。
たとえばダイオキシン類のように水にはとけにくいが油によくとける性質の場合には、体内に取り込まれると脂肪に貯まってしまい対外に排出されにくくなってしまいます。
逆に水に溶けやすいものは対外に排出されやすい傾向があります。