2016.6.27 月曜日

放射能の危険性と健康への影響 ~正しく知り、正しく恐れる~


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福島第一原発の事故から5年が過ぎ、徐々に人々の記憶から薄れていく傾向にあります。しかし、漏洩した放射性物質は今も消えることはなく、今も少しずつ漏れ出しており、いまだ解決したわけではありません。放射能は目に見えないだけに、気になる人には不安が募り、気にならない人には気にならない存在です。とはいえ、事故以前とはまったく異なる状況であることは間違いありません。放射能のリスクを正しく知り、正しく恐れることが大切です。様々な情報源から一定学んでご存知の方も、ぜひ再確認のつもりでご覧ください。

今も放射能汚染の危機が続く、福島第一原発事故後の日本

私たちの健康を支える「食の安全」を考える上で、放射能は触れずにはいられないテーマです。特に近年においては、2011年3月11日の福島第一原発事故の影響は大きく、それを考慮した食選びが不可欠と思われます。

それでは、原発事故によってどのくらい放射能が漏れ出し、どのように人体への影響があるのでしょうか。「直ちに影響がない」という東電および政府の言葉に反し、様々な専門家による警鐘がならされています。

まず、分量としてはセシウム137のみについて政府発表がなされており、1号機から590 TBq(テラベクレル)、2号機から14000TBq、3号機から710TBqが空中または土壌、海中へと放出したことが明らかにされています。広島の原子爆弾の89TBqに対してトータルで約168倍のセシウム137が放出されたことになります。さらに爆発で飛散した分が含まれないため、実際には測定量より多くの放射性物質が放出されたことが懸念されています。

まず、海中へは今も300トンの汚染水が生みに流れ出しており、空中へは偏西風に乗って米国西海岸まで届き、その一部が当時の風向きで碓氷峠にまで降り注ぎました。既に土に落ちていることから、数十年はこの放射線量は変わらず、そこでの生き物や作物に影響を与え続けていくであろうと考えられています。

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なお、6万Bq以上の区域は要避難区域。そして放射線管理区域である4万Bq/m2圏内では飲食も生活もできないと規定されているにも関わらず、国は「原子力緊急事態宣言」を布告して人々は住み続け、食品の生産もなされています。

そして、放出された放射性物質には、次のようなものがありました。放出量についてはセシウム137から推測した数値です。

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放射性物質ごとに、体の各部位に蓄積する性質を持っており、そこに留まり続けることで細胞への影響を与えます。その中でも最も深刻な影響が懸念されるのが「セシウム137」です。それでは、放射性物質がなぜ健康被害をもたらすか、またそのメカニズムはどのようなものか、一部ながら紹介しましょう。

放射線による最たる健康被害は内部被曝によるDNAの損傷

放射線による健康への影響は、まず「確定的な影響」「確率的な影響」の2種類で語られます。「確定的な影響」については、浴びれば浴びただけ強い障害となって現れます。必ず表出する皮膚障害や不妊などはここに含まれます。また、癌など確率が上がる疾病については「確率的な影響」として分類されます。そして、症状が出てくる時間で分類するものとして「急性障害」「晩発障害」があり、次世代への影響も懸念されます。外部から影響を受ける「外部被曝」、体内に取り込み影響をうける「内部被爆」といった分類も行われます。

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それでは、放射能がどのように人体に影響を与えるのか、セシウム137の例で紹介しましょう。セシウム137はその構造体の性質から体内のカリウムと置き換えられ、体内に留まり続けます。この時、体内で放射線を発し続けるために、長期にわたって内部被曝を受けることになります。

その影響は大きく2つのメカニズムによって説明されます。まず1つ目は、放射線によって直接細胞のDNAが損傷を受けることです。そしてもう1つは、放射線内のβ線が水と反応して活性酸素を生み出し、DNAを攻撃することです。その結果、DNAに損傷を受けたことで修復に失敗し、細胞の突然変異が生じ、それが癌化する恐れが高まります。当然、DNAの損傷を起点として様々な健康被害が予想されます。いずれも「確率的被害」であり、すぐにその影響が測定できるわけではないためか、国や自治体ではその対策として明確には打ち出していません。自ら情報を集めて考え、対策を考えることが求められています。

なお、害をなす放射能の「量」については、様々な考え方があります。まず、なければない方がよいという考え方。また、しきい値を越えるまでは全く意味がないという考え方。そして、少量ならむしろ健康によいという考え方。例えば、ラドン温泉など弱い放射線に対して体が反応し、免疫力が向上するという「ホルミシス仮説」という考え方も存在します。

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また、CTスキャンや飛行機、レントゲンなどの一時的に浴びる放射線量と比較して、内部被曝量の影響の小ささを強調するロジックもありますが、被爆の時間を考えると比較のできない比較といえるでしょう。

放射性物質を取り込まない食べ物・放射性物質の影響を軽減する食べ物

まず、ヨウ素131の場合、甲状腺に溜まりやすく、甲状腺がんの原因になると考えられています。本来、ヨウ素は、甲状腺ホルモンの構成成分として甲状腺に備蓄されます。そこに不足があるとヨウ素131が取り込まれてしまうため、ヨード剤を摂取し、ヨウ素で飽和しておくことが有効というわけです。半減期が7日と短く、取り込む恐れがある際にはヨード剤を飲むことが有効です。また、ヨード剤の代わりに、ヨード分の多い昆布やわかめなどの海藻も有効であると考えられています。

しかし、福島第一原発事故の際には、当初「水素爆発」とされていたため、ヨード剤の配布は行われませんでした。自治体によっては予防的に配布したところもあるため、今後の統計でその差が明らかになると考えられています。

セシウム137については、筋肉に溜まりやすいために筋肉の塊である心臓への影響が大きいと考えられています。また、骨髄や小腸に多いステムセル(幹細胞:体のさまざまな種類の細胞のもとになる細胞)への影響力が大きいのも特徴です。チェルノブイリの事故の際には、多くの運転員・消防士が死亡していますが、その多くがステムセル損傷による腸管出血だったと報じられています。

こうした影響を最小化するために、味噌に効果があったことが実験によって実証されています。味噌の熟成によって生じたメラノイジンに、ヒドロキシルラジカル(フリーラジカルの一種)消去活性があり、特に過酸化脂質の除去に効果があったことで、放射能の影響を抑制したと考えられています。そしてもう1つ、チェルノブイリの事故でセシウムを多く取り込んでしまった子どもたちにアップルペクチンを服用させたところ、セシウム排出が進んだという臨床結果も得られています。

ストロンチウム90はカルシウムと置き換えられ、骨に蓄積しやすい性質を持っています。つまり、カルシウムをしっかりと摂っておくことが有効です。そして、フリーラジカルの働きを抑制する抗酸化物質を多く含む食品を、普段以上に積極的に摂ることも重要といえるでしょう。

もはや、原発事故で排出された放射性物質は日本の土壌や水を汚染し続けており、それは紛れもない事実です。まずは体内に放射性物質を取り込まないよう、食品の安全性に気を配りつつ、取り込んでも排出、影響を抑制するための食生活を意識することが大切です。

コラム「福島第一原発の事故と現在の状況(2015年3月現在)」

福島第一原発の事故により、1号機、2号機、3号機についてはメルトダウンを起こし、冷却停止の状態となっている。現在も高濃度に汚染された放射能汚染水が漏れ出し、凍土壁やコンクリート注入などの対策がとられているが、すべてを封鎖するには至っていない。また、膨大な汚染瓦礫が蓄積しており、徐々に袋詰めされているものの、最終的にどう処理するのか、根本的な解決方法はまだ見つかっていない。東京電力は事故直後にメルトダウンの情報をつかみつつも、2ヶ月以上も正式に認めておらず、また広島原発の14000発分現在も政府まで巻き込んだ情報統制に嫌疑の目が向けられている。

なお、4号機については稼働しておらず、運良くメルトダウンを免れたものの、半分壊れた建物内のプールの底で1500本400t以上の大量の燃料棒が置き去りになり、発熱を続けていた。これは広島に落とされた爆弾の14000個分ともいわれ、「プールの水が干上がり、燃料棒がむき出しになれば、東京すら放棄するしかない」と当時の原子力委員会の近藤駿介委員長は報告書を出している。幸い2014年12月に使用済み燃料ブールから比較的危険性が低いとされる共用燃料プールへの燃料棒の移動に成功し、危機的状況を回避できたと考えられている。

ちなみに1、2、3号機については、ひたすら漏れ出す汚染水対策に追われるのみで、燃料棒の取り出し時期については2017〜20年としている。ただし、燃料棒の状態を推測することも難しく、クレーンで掴めるような状態ではないことが想像されるため、元京都大学原子炉実験所助教の小出裕章氏はコンクリートでの「石棺化」と下部から汚染水を留めるための「ダム」による施策を訴えている。

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