2017.8.29 火曜日
マイスターライフ。 リウマチからの克服。日本とオーガニックの本場オーストラリアの懸け橋にチャレンジ。 阿部聡子さん
20代からがむしゃらに働き、食べるものまで気が回らず、心も身体も疲れ果てていった6年前、阿部聡子さんの身体は悲鳴を上げました。そんな時に食の見直しから取り組み見事に克服していった聡子さん。今から考えれば薬に頼り切らずごく軽い症状のうちに食で改善をしようと決めたのは、彼女の人生を大きく変えるきっかけとなったのでした。
それからはオーガニック食が中心に、生活まで改善していくことに。
日本でも著名な栄養科学博士、オーガスト・ハーゲスハイマーさんとの出会いがオーガニックビジネスの学びと基礎を作ってくれたのです。
現在は日本とオーストラリアのオーガニックライフの懸け橋になるべく新たな仕事にもチャレンジ中。まさにオーガニック・シンデレラのような彼女の活躍をご覧ください。
オーガニックライフとの出会い、多忙なOL時代についてのお話しを教えてください。食の大事さを知るきっかけは何ですか?
保険業界にいた6年前、リウマチになったことが私にとって新しい生活の始まりでした。多忙な残業続きの毎日で、料理をする時間もなかったので週何回か、夜ご飯はコンビニで済ませていました。なんだかいつも体が疲れていて体調が優れなかったのですが、そのうち体中の全関節が痛み出し、特に足は柔らかい靴を履いても苦痛になってしまうほど痛みがありました。それでもリウマチなんて年をとった人がなる病気と思っていたので、当時30代前半だった私にはよく理解ができませんでした。セカンドオピニオンも含め、3人のお医者様に聞きに行ったところ、3人とも答えは一緒でした。
「リウマチは治らない病気。そして徐々に手や足が変形していく可能性もあります。だから、あなたは薬と一生付き合っていかなくてはなりません。」
こうして初期の方が必ず処方される薬をもらい、その薬を1年間飲み続けました。ただ、その薬を飲み続けると将来必ず副作用が現れることが知られています。リウマチ関連の本などを読んだ際、その副作用を抑えるためにさらに、さらに別の薬を飲むような体験談なども書いてありました。そこで段々と薬を飲んでいることに対しての不安や迷いが出始め、 ちょうどその頃、一緒にボランティア活動をしていたオーガスト・ハーゲスハイマーさんが、予防医学に関する活動をされていることを知り相談してみたのです。
実はそこからが驚きの連続。今まで、自分は日本人だし、健康的な食生活を送っていると思っていたのですが、自分の認識が完全に間違っていたことを知りました。リウマチは炎症の病気なので、科学的にみて、とにかく炎症の起こらない食べ物や、逆に炎症を抑えてくれる食べ物を毎日摂ることが大事なのだと学びました。
大好きだった乳製品や糖質、化学調味料、農薬が使われているものは全て体に炎症を与えてしまうものと分かり、食生活の中から排除していきました。そして、薬も完全にやめ、食生活の改善だけで炎症と戦った1年半後、奇跡が起こりました。完全に痛みがなくなったのです。自分の体で体感したからこそ、私たちが日々口にするものの大切さに気づかされました。私たちの体は食べ物からできているんだ、と。
アンチエイジングフードマイスターになったきっかけを教えてください。
オーガニック食品会社・アビオスで約3年半働かせてもらい、本当に色々と勉強させていただきました。ただ、「栄養学」の基礎がなかったので、まずは基本を知ることも大事だと思い、アンチエイジングフードマイスターのベーシックとアドバンスの資格を取りました。
その間、白澤卓二先生の貴重なゼミナールも直接受けることができ栄養と世界環境や経済が混沌化している現実も学べたのは大きな収穫でした。こういうお話しは普通の資格などでは学べない、感じることのできない内容です。
今、働いているのがオーガニック牧草牛などを提供する会社なのですが、白澤先生のレクチャーで、家畜が一般的にどれだけ劣悪な環境で育ち必要のない注射を打たれているかお話しされていたことが、今の会社の素晴らしさを知るきっかけとなりました。
聡子さんがオーガニックライフを日本で展開されたい理由は?オーストラリア事情も教えていただけますか?
私自身が、オーガニックな食生活で体が強くなりエネルギッシュになりました。これは自分でも本当に驚いているのですが、風邪も6年ひいていません。 今では、病は気から、気は食事から、と思っています。もともと、特に強い体でもなかったので、私がこんなに強くなれるのなら、誰でも可能だと思います。だからこそ、大切な家族や友達はもちろんのこと、多くの方々に知ってもらって少しでも健康に楽しい生活を送ってもらいたいという気持ちがあり、オーガニックの業界に携わっています。
私が今働いている2社はオーストラリアにあります。アーケディアン オーガニック&ナチュラルミートカンパニーというオーストラリア最大手のオーガニックのお肉を提供している会社と、キアラピュアフーズという会社でオーガニックの穀物を30年もの間、提供している会社です。オーストラリアは世界のオーガニック農地の53%を保有する国ですが、とにかく穀物を育てるにも、家畜を育てるにも広大な敷地を利用しています。実際にオーストラリアの畑や農場を見学してきましたが、隣の農家まで数十キロ、数百キロは普通の世界でした。 また、オーストラリアの空気は世界のランキングでみてもとてもキレイなのですが、畑や農場を見ても、近くに工場など一切なく、こういった環境で育ったものは、 本来あるべき環境の中で育ったものなのだと腑に落ちました。このような本来あるべき形で、信念を
持ってものづくりを行なっている農家さん、そしてその農家さんを支える今の会社の方針に感銘を受けました。そしてオーストラリアでは、一般のスーパーに行っても、どのセクションにもオーガニックのものが並んでいます。消費者も一緒になって支えているのだなと実感しました。大自然の中、どこに行っても、普通にオーガニックが選べる理想の世界です。
日本は日本ならではのオーガニックライフが展開していくと思われますか?
オーストラリアでは、日本の伝統的なそば、うどん、そうめんなどの麺類も一般的なスーパーで手に入るのですが、そのほとんどがオーガニックのものでした。オーストラリアでは日本のオーガニックの麺類が沢山売っているのに、日本ではオーガニックのものが少ないという事実が、本当に残念でなりません。
ただ、食のムーブメントは、アメリカが一番初め、オーストラリアがその5年後、日本はまたその5年後という傾向もあるようなので、必ずそのうち日本人も食についてもっと意識が変わってくると信じています。現に、私がオーガニックの食のお仕事を始めた4年前から比べると、明らかに一般の方々の知識も増え、さらに興味まで持っていただけるようになったのを肌で実感しています。
まずはお野菜や果物など、入りやすいところからオーガニックを取り入れ始めると、徐々に自分の体も変化していき、そうなると、次に加工食品、化粧品とどんどん変わっていきます。一度その良さを知ったら戻れない。それがオーガニックの力なのだと思います。
今後、聡子さんが具体的に行いたいビジネスプランなどやりたいことなどあればぜひ教えてください。
ご縁があり、現在、オーストラリアの素晴らしいオーガニックの会社2社で働いていますが、どちらの会社も生産者さんとの絆が強く、また生産者さんがオーガニック認証を毎年取得できるよう、全力でサポートしています。 第三者機関からオーガニック認証を得るためにはお金も時間もかかります。今働いている2社は、もっと多くの生産者さんがオーガニックにシフトしていくことを望み、いろんな面でサポートし続けています。将来の皆の幸せのためにそういった精神・ビジョンをもつ会社の製品を、これから日本で広めていくことこそが私のミッションだと感じています。オーストラリアだからこそ、本当にキレイなものがつくれます。日本の皆さんにもそういったものが手に入るんだということを知ってもらいたいと思います。オーガニックは今は高いかもしれませんが、需要が増えれば安くなっていきます。また、この2社のビジョンを通して、徐々に生産者さんをサポートしていく企業が日本でもっと増えていくきっかけとなれたら嬉しいです。
アーケディアン オーガニック&ナチュラル ミートカンパニー
https://www.arcadianorganic.com.au
オーストラリア最大のオーガニック&自然赤身肉の供給業社です。日本では未だほとんど流通していない広大な敷地で育った「オーガニック牧草牛」や「放牧豚(NON-GMO飼料)」を提供します。オーストラリアの主要スーパー、米国のホールフーズやコストコでも販売されています。
キアラピュアフーズ
http://kiallafoods.com.au
100%オーガニックの穀物を提供する、創業から約30年のリーディングカンパニー。すでに日本での展開もあり、人気のパンケーキミックスや小麦粉、スペルト小麦、オートミール、ライ麦、そば粉など、20種類の製品群があります。生産者との長年の信頼関係から、安定供給を実現できる数少ない会社のひとつです。