2019.9.13 金曜日

古酒ファンの聖地、「布施酒造店」 【塩と発酵を巡る旅ルポ】その5


塩と発酵を巡る旅の2日目、七尾の一本杉通りにある1軒だけ残っている小さな酒蔵「布施酒造店」へ。

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昭和の映画セットのような不思議な雰囲気のある店内です。
店主の布施さんが説明してくださいました。
酒銘『天平』は、その昔石動山にあったという”天平寺”に由来しており、個性的な瓶のラベルのイラストは、当代の兄である日本画家 布施謹爾氏によるものだそうです。

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今七尾にはこの「布施酒造店」さん一軒しか残っていない酒店ですが、戦前遊郭などがあった時代には三軒ほどの酒店さんがあって随分とにぎわった界隈だったそうです。

工場の奥まで見学させていただきました。
醸造用の大きな樽や搾りの舟まであり、やはり季節には親族総出で仕込みをなさるそうです。工場内はふんわりと柔らかい麹の匂いが。。
この「布施酒造店」さん独自のかもし菌がいるのでしょうね。

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こちらが、社長の兄である日本画家 布施謹爾氏のラベル。印象的ですね。工場内にはまさにギャラリーのように布施謹爾氏の絵が飾ってあります。

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工場内を見学させていただきつつ、待ちに待った試飲です。

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古酒専門の酒蔵としてマニアからの人気が高く、3年・5年・7年・10年の古酒があります。

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気になるお味は、深いブランデーを感じさせる、スッキリとした苦味とあとからくる濃い甘味。氷を入れて飲んでも美味しいとのこと。

お金じゃなくてやっている、という当代店主。手間と材料を考えたらこの料金ではやるものがいない、、とおっしゃっていました。
日本の発酵文化を家族で守り抜くにはやはりなんらかの保存活動や工夫がないとなかなかに厳しい現実もあるようです。
古酒以外にも新酒『純米吟醸 あらばしり』、新酒『純米吟醸 にごり酒』があり、どれも個性的な味わい、日本酒マニアには有名です。

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最後にお見せの前で当主のご一緒にパチリ。一気にみなさん、お買い上げになったのでラッピングは我々のお仲間がお手伝いするという場面も。新酒と古酒を両方購入されている方も沢山いらっしゃいました。
名残り惜しい七尾ですが、次は高野誠鮮(じょうせん)さんのお寺妙法寺へと向かいます。