2017.1.16 月曜日
日本の女性には鉄が足りない! 生涯を通じて影響する~慢性鉄不足に忍び寄る骨粗鬆症へのリスク
風邪でもないのに最近なんだか、疲れがぬけない、だるさを感じる、肩こりがひどい、お肌が老化してきたみたい、こんな症状はありませんか?健康診断では何も異常はなかったのに。。こんな方はまず「隠れ(慢性)鉄不足」を疑ってみることも大事です。
厚生労働省によると、30代女性(月経あり)の1日に必要な鉄分の推奨量は「11mg」ですが、実際の摂取量は30~39歳の女性で6mg程度しか摂れていませんでした。(厚生労働省『平成24年国民健康・栄養調査結果の概要』より)
体内の鉄不足、足りないとどうなるの?
現代女性にとって鉄分不足は、私達が思っている以上に実は深刻です。
体内の鉄が不足するとヘモグロビンを順調に作ることができず二酸化炭素の回収が間に合わなくなり身体は酸欠状態に。疲れ・だるさ・めまい・頭痛・肩こり・動悸や息切れなどの不定愁訴を感じます。またコラーゲンの生成に鉄が大きく関与するため、美肌はおろか、将来的に骨質に関連して骨粗鬆症のリスクも高まってくるのです。
つまり、鉄不足は30代頃からは貧血や身体の不調を感じ、50代以降老年期にかけては骨質に関連して骨粗鬆症のリスクもあるという、女性の生涯を通じて影響する栄養のひとつともいえるのです。
コラーゲン不足は骨粗鬆症に!!鉄はコラーゲンの合成に欠かせない。
骨というとカルシウムをすぐ思い浮かべますが、骨は実はコラーゲンとカルシウムが1:1程度の割合です。鉄筋コンクリートの建物を想像するとコラーゲンは鉄筋・カルシウムはコンクリートのような役割を担っているのです。骨密度を高めるカルシウムと同時にコラーゲンで骨質を高めておくことが重要なのです。コラーゲンはタンパク質がらせん状に集まり形成され、合成には鉄とビタミンCが必要になります。骨は高齢化してから丈夫にしたいと思っても間に合わないのです。
貯蔵鉄 フェリチンを知っていますか?気づかぬうちに進行する鉄不足
鉄は血液中だけではなく肝臓や脾臓にも貯蔵されています。身体の様々な組織で鉄が不足し始めるとまず肝臓や脾臓に貯蔵されている鉄が消費されます。それでも足りない場合は血液中の鉄が消費されていきます。実際多くの日本人女性の血液検査では、ヘモグロビンは正常値を示していても、体内では鉄が不足している状況は珍しく無いのです。一般的な血液検査では貧血と診断されないので本人も貧血とは思っていなかったという声は多く聞かれます。
鉄の効率の良い摂り方
鉄が効果的に働くためには、鉄と一緒にいろいろな栄養素をまんべんなく摂ることが大切です。とくに細胞の活性を高めて鉄の吸収をよくするためには、ビタミンB2、B6、B12とマグネシウムを鉄と一緒に積極的に摂るようにしましょう。これは赤身の肉や魚に多くあります。ヘモグロビンを造るために欠かせない良質のタンパク質や、ポルフィリンを合成するのに必要な亜鉛も不足しないように心がけてください。
※鉄はビタミンCと一緒に摂ると吸収率が高くなります。
※加工食品によく使用されるリン酸カルシウムは鉄の吸収を妨げる性質があります。加工食品は摂らないほうがベターです。
女性は特にタンパク質不足も注意しましょう
女性はダイエットにより糖質や脂質を極端に控えることも多く、エネルギー不足により体内のタンパク質がエネルギーとして消費されることもあります。こうなると鉄が十分であっても、タンパク質が不足することでヘモグロビンやコラーゲンを生成することはできません。貧血や肌荒れ、骨粗鬆症をはじめ他の病の引き金になることもありますので、栄養素は偏りなく多様性をもって摂取するとことを改めて意識しましょう。