2017.1.20 金曜日

納豆を科学する ~次々と明らかになる小さな粒に秘められた健康効果~


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和食の “珍味”として世界でも愛好者の多い「納豆」。独特の匂いとぬらぬらとした粘りは「納豆菌」の仕業。アミノ酸などの旨み成分やビタミンK2、ナットウキナーゼといった栄養も新たに生成し、それらが納豆独自の健康効果をもたらします。一方、糸を引かない納豆、干した納豆など、地方には納豆菌以外の納豆もいろいろ。その滋養豊かな味わいを毎日の食卓に取り入れてみませんか。

掘れば掘るほど出てくる!?納豆の健康効果

納豆の健康効果については、その昔から様々な研究が行われてきました。様々な成分が相まって、栄養価値を高めているわけですが、あえて科学的視点から、要素ごとに効能について紹介しましょう。

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納豆菌が豊富に存在している稲。天然の菌を使用した納豆つくりにもチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

質も量も豊富な「たんぱく質」

納豆の約17%がたんぱく質であり、それは原料である大豆に由来します。しかし、発酵前と比べて異なるのは、そのアミノ酸の種類と量。ほとんどが必須アミノ酸で9種類がほぼ揃い、特に旨みのもとであるグルタミン酸は1%にも上ります。納豆は体内で活用されやすく良質なたんぱく質といえるでしょう。

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ネバネバ成分にはポリグルタミン酸

納豆をかき混ぜると出てくるネバネバは、グルタミン酸とアミノ酸がつながった「ポリグルタミン酸」が主成分です。両者とも分解されにくく、胃壁を守ったり、腸管で老廃物や毒素などの排泄を促進したりという性質があります。なお「ポリグルタミン酸」には、後述のナットウキナーゼという酵素も含んでいます。

エネルギー代謝に欠かせない「ビタミンB群」

炭水化物を効率的にエネルギーに変えるために不可欠なのが、ビタミンB1とビタミンB2。両者とも納豆には多く含まれ、特にビタミンB2は煮た大豆の10倍にも上ります。他にもアミノ酸代謝や炎症を防いで美肌に効果的とされるビタミンB6や抗酸化、抗老化ビタミンといわれるビタミンEも含んでいます。また、不足するとペラグラ(日光皮膚炎、吐き気、下痢、不眠)の恐れがあるニコチン酸なども含まれ、他にカルシウムやカリウム、鉄、亜鉛、銅などのミネラルも豊富でバランスよく摂取することができます。

酵素と酵素阻害物質

納豆だけに含まれる酵素である「ナットウキナーゼ」の健康効果については耳にされたことも多いのではないでしょうか。血栓の主成分であるフィブリンを溶解する働きや、アルツハイマーに関わる有害なアミロイド繊維の異性化に効果があるとされ、生活習慣病予防に有効な成分として認知されつつあります。もとは注射のみで得られる効能と考えられていましたが、近年の臨床検査では、食べ物として摂取することでも同様の効果が得られるという報告がなされています。ただし、熱に弱いため、70度以上に加熱すると効果を損ねてしまうので注意しましょう。

また、他にも様々な酵素や酵素阻害(促進)物質が含まれており、血圧の上昇を抑える働きを持つ「アンジオテンシン変換酵素阻害物質」や、血液の凝固を阻止する酵素を活性化する酵素である「ウロキナーゼ」なども注目され、研究の対象となっています。

大豆由来成分もたっぷり

納豆には大豆由来の不溶性・水溶性の食物繊維が約6.7%含まれています。厚生省では1日当り繊維の摂取目標を成人男性で19g以上、成人女性で17g以上としていますが、その20%を納豆1食分50gで摂取できるというわけです。また、ポリフェノールの一種であるイソフラボンは女性ホルモンに構造が似ており、骨粗しょう症予防やアンチエイジングに効果的とされています。また、抗酸化作用がある大豆サポニンや、余分なコレステロールを回収するHDLの成分となるレシチンなど、大豆由来の成分も効果的に摂取することができます。

効果が高いだけに食べ過ぎには注意を

これだけの健康効果をみれば、食べない理由がないと思われますが、やはり過ぎたるは及ばざるがごとし。食べ過ぎによるデメリットには注意しましょう。特に血液サラサラ効果は高く、アスピリンとの併用で脳内出血のリスクを増大させ、血栓症の薬を飲んでいる人はその効果を高めすぎるとされています。

また、イソフラボンの摂り過ぎによって女性ホルモンに影響が及び、月経周期の遅れや子宮内膜増殖症などのリスクが高まることも報告されています。

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納豆を作るためのわらずと藁苞。日本の農産物がうまく循環して食品ができあがる過程にも注目したいですね。(遠野:風土農園さんにて)

すべての食品がそうですが、どんなに体に良いとされる食べ物も摂り過ぎや単独食品だけ摂取するという食事法はマイナス。日々の食事の中に上手に取り入れ、さまざまな食品を摂りながらと健康効果を得ることを意識しましょう。
また機会があれば納豆作りの会などに参加してみるのも良いですね。

 

北里大学理学部化学科  丑田 公規  教授 の研究では『日本では、山芋、オクラ、納豆などのねばねば物質を見た目で「ムチン」と呼ぶ習慣があり、広く流通している辞典などにも記載がある。しかし、これらの多くは別の物質で、構造からもムチンではない。』と発表されており当記事も掲載時には「ムチン」の記載がありましたが今後修正させていただきます。(2021.3.1訂正)

江戸の健康食

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2017年3月4日(土)14時~
東京ウィメンズプラザ ホール

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