2016.8.23 火曜日

漬物を科学する 世界に誇るマイクロバイオームフード


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和食の名脇役である「漬けもの」。漬けものに関する記録は8世紀の正倉院文書にみられるなど、その歴史はとても古いものです。もちろん、冷蔵文化が発達し、減塩がよいとされている現代とでは、つくり方も塩分の割合も違います。しかし、酵素が発酵を手助けしていることに代わりはありません。漬物とは何なのかをひも解きながら、健康な食生活に上手に組み入れる方法を考えましょう。

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乳酸菌が豊富なずいき

乳酸菌が豊富なずいき

「漬かる」ということ

植物の細胞は細胞膜に囲まれて安定した組織となっています。これが食塩や糖分、アルコールなどの溶液に触れると浸透圧により細胞膜の耐圧機構が崩れて内からも外からも通じる膜に代わります。この細胞膜に食塩が入る現象を私達は「漬かる」といい、細胞膜破壊が3~4割を「浅漬け」、7割以上で「本漬け」となっていくのです。
破壊された細胞膜をとおって食塩が細胞内に入り込むと中の糖や遊離脂肪酸AMP(核酸関連物質)、有機酸、香気成分、水と中和して一種のスープ(いわゆる漬け汁)が形成されます。漬物は野菜の歯ごたえとともに、野菜ごとの個性的な漬け汁の味のコンビネーション、を楽しむ食なのです。細胞膜が弱くなっているので当然組織内の栄養素も分解されやすい状態になっています。

発酵の味と効能が加わった漬物

発酵による漬けものの代表といえば、すぐき、しば漬、ぬかみそ漬けのような乳酸菌が関与する乳酸菌発酵物やたくわん漬けのような酵母が関与するアルコール発酵漬物、などがあります。いずれも微生物の発酵により漬け汁内の糖が分解され味と香気が変化し味が複雑になっています。
梅干しや塩漬け、酢漬けなど漬け込む際に発酵を要しない漬けものもありますが、漬けものの多くは発酵食品です。

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発酵漬物が有する機能としては、まず酵素の働きで食品の風味や旨みを増し、保存性が高まります。酵素の働きにより、細胞内で強く結合している野菜の抗酸化物質(フィトケミカル)の結合がとれ、効率よく抽出されて吸収しやすくなり、抗酸化作用が強くなります。

特に野菜を発酵させた漬け物の特徴は、「野菜で作ったヨーグルト」 といわれるほど乳酸菌が豊富なこと、食物繊維が多いことです。乳酸菌と食物繊維が、腸内環境を整え、過酸化物質の排出を促し健康維持にも多いに役立つます。今、話題のプレバイオティクス(善玉菌が活発になる環境を整える成分を摂り込むこと)、プロバイオティクス(乳酸菌自体を摂り込むこと)の両方を兼ね備えた食品と言えます。プロバイオティクス乳酸菌飲料の菌数が100億/100gなのに対し、発酵漬物では1000億/100gにも達しますから、やや酸味のでた古漬けを食べたほうが腸内細菌への寄与度は高いのですね。

漬けてからどうなる?微生物叢の変化

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さて、漬物を作り始めて、浅漬け~古漬けとなっていく過程では微生物はどうなっていくのでしょうか?
発酵初期には、原料の野菜に付着している雑菌たちが増殖してきます。少し遅れて、乳酸菌の増殖がスタートします。発酵の初期段階では乳酸球菌が多くなり特に、L.メセンテロイデスが優勢になりますが、それ以外ではEファエカリス、Eフェシウムといった乳酸菌などが追随し乳酸菌量は0.7~1.0%にも達してきます。ヘテロ型のL.メセンテロイデスは乳酸以外にも酢酸・エタノール・炭酸ガス・エステルなどを生成するので微妙な香味や酸味が加わり、さらに乳酸や酢酸が作られpHが低下すると酸に弱い雑菌は減少・死滅してきます。
発酵中期から後期ではL.プランタムを湯鯛とする乳酸桿菌(にゅうさんかんきん)が急速に増えさらに乳酸菌が増えることになります。
同じ乳酸菌でも2ステップというわけですね。

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腸内を整える食 漬物

腸内環境を整えるということは、吸収力・排出力のみならず、免疫力の向上にもつながります。免疫細胞は加齢によって次第に低下していきます。また若い人であっても食生活の乱れやストレスなどによっても低下したりします。近年、乳酸菌にはNK(ナチュラルキラー細胞)活性の上昇が認められるなど、免疫と乳酸菌の相関性も研究テーマとして取り上げられることも多くなってきました。様々な働きがあり、まだまだ解き明かされていないことも少なくないのですが、そのパワーを体に摂り込むためにも、積極的に毎日の食卓に乗せることをオススメします。

なお、近年ではスーパー等でも様々な漬け物が並んでいますが、中には添加物で味や香りをつけたりしたものが少なくありません。こうした商品は、発酵食品が本来持っている風味や栄養素が欠けているだけでなく、アミノ酸調味料、保存料、着色料など添加物だらけです。漬け物はきちんと熟成したものを選ぶか、手づくりをするとよいでしょう。

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